- HOME
- アクリル塗料を外壁塗装で使うメリット・デメリットや他塗料との比較解説
アクリル塗料を外壁塗装で使うメリット・デメリットや他塗料との比較解説
アクリル塗料は他の種類の塗料に比べて価格が安く、カラーバリエーションにも優れています。
にも関わらず、現在の外壁塗装現場でアクリル塗料が使用されることはほとんど無くなりました。
いったいなぜなのでしょうか?
本記事を読むことで、アクリル塗料の特徴や他の塗料と比較した性能の違い、具体的なメリット・デメリットを知ることができますので、「費用を抑えて外壁塗装をしたいけど、価格の低いアクリル塗料ってどうなの?」と思われた方にはご参考いただける内容となっています!
目次 【表示】 【非表示】
アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分とする塗料です。
かつては外壁塗装の主流だったアクリル塗料ですが、現在ではより高性能なシリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料などが登場した影響により使用する機会が激減しています。
アクリル塗料は他種類の塗料よりも価格が安く、現場での使い勝手の良さが特徴です。
また、費用の安さに比例して耐用年数も他塗料より短く、5〜8年程度とされています。
上記のような背景から外壁塗装の現場ではほとんど使われなくなってきているアクリル塗料ですが、その耐用年数の短さと安価であることを活かし、
「近い将来に建て替えを予定している住宅」
「頻繁に外壁の色を変えたい場合」
などの用途として外壁塗装に使用されることもあります。
アクリル塗料のメリットとデメリットをご紹介したいと思います。
まずは以下のメリットについて、それぞれ外壁塗装としての視点から解説いたします。
- ☑ 費用が安い
- ☑ 発色の良さと豊富なカラーバリエーション
- ☑ 透湿性の高さ
- ☑ 扱いやすさ
価格が安い
アクリル塗料の最大の魅力は、なんと言っても価格の安さです。
- ☑ アクリル塗料の㎡単価相場:1,000円~1,500円
これは現在の外壁塗装の主流となっているシリコン塗料の2,500円〜3,500円と比較してみても、かなり安価であることが分かります。
豊富なカラーバリエーション
アクリル塗料は発色の良さが売りで、使用すれば鮮やかな色合いを楽しむことができます。
カラーバリエーションも豊富で、好みに合う塗料の色を見つけやすいことがメリットです。
外壁塗装ではほとんど使われていないアクリル塗料ですが、塗料を劣化させる紫外線が届きくい室内の塗装では耐用年数の低さがあまり気にならず、たくさんのカラーが取り揃えられているためお部屋のデザインに合わせた色選びが可能として重宝されています。
高い透湿性
アクリル塗料は透湿性が高いことから、塗膜が湿気を通しやすい特性を持ちます。
外壁材に溜まった水分が蒸発した場合、表面を保護している塗膜が湿気を通せると外壁自体が乾燥しやすくなるため、傷みや劣化を抑えられます。
アクリル塗料ではありませんが、特に雨水が染み込みやすいALCパネルの外壁には透湿性の高い塗料での塗装が推奨されています。
扱いやすさ
アクリル塗料は1液型の製品が多く、2液型と比較した扱いやすさが魅力とされることがあります。
簡単に1液型と2液型の違いについてご紹介いたします。
- ☑ 1液型:他の液体との攪拌が不要、日持ちするため余った分は別日に使用可能。
- ☑ 2液型:硬化剤を混ぜて使用する必要があり、その日の内に使い切る。
1液型が多いアクリル塗料は現場で硬化剤と混ぜる必要がないため、そのまま使用することができるのです。
撹拌という専門的な手順を踏まずに済むため、室内や家具を塗装するDIYの場面において使い勝手の良さが評価されています。
ちなみに、2液型は撹拌の手間があるものの、1液型よりも耐久性に優れるといったメリットがあり、どちらのタイプも現場ではよく使われています。
アクリル塗料は多くのメリットを持つ一方で、外壁塗装では使われなくなった理由を表すようなデメリットも存在しています。
以下に、アクリル塗料の主なデメリットをご紹介します。
- ☑ 耐久性が低い
- ☑ ひび割れが出やすい
- ☑ 頻繁なメンテナンスが必要になる
耐久性が低い
アクリル塗料の耐用年数は長くても5〜8年程度であり、他の塗料と比べて塗膜の寿命が短いです。
外壁塗装の塗料は耐久性の高さや次のメンテナンスまでどれだけ長持ちするかが選ばれるポイントになりますので、ただ安いというメリットだけでは採用されなくなっているのです。
ひび割れが出やすい
アクリル塗料は塗膜が硬い性質のため、気温の変化や外部からの衝撃でひび割れが発生しやすいとされています。
柔軟性を高めるために可塑剤が添加される場合もありますが、それも紫外線の影響によって徐々に成分から抜けていってしまうもののため、次第に硬化してひび割れてしまうのです。
ひび割れた塗膜は外壁材から剥がれやすくなったり、水分が内側へ干渉しやすい状態となるので、外壁保護の役目を果たしにくい状態となってしまいます。
頻繁なメンテナンスが必要
アクリル塗料は劣化が早いため、メンテナンス頻度が高くなります。
たしかにアクリル塗料の初期費用は安価であるものの、頻繁な塗り替えが必要となるために、長期的には他の塗料と比べてトータルコストが高くなる場合があります。
特に、足場代(15万〜25万が相場)や人件費などの再塗装に伴う費用が嵩んでいくことを考慮すると、コストパフォーマンスは他の塗料より圧倒的に劣ると言えるでしょう。
アクリル塗料の主なメリット・デメリットをご紹介いたしました。
アクリル塗料に限らず、あらゆる塗料には優れた部分とマイナスポイントが両立していますので、それらをよく理解した上で外壁塗装に使用する塗料の種類を決定することが大切となります。
ウレタン塗料
耐用年数 | 7年〜10年程度 |
相場 | 1,800〜2,500円/㎡ |
ウレタン塗料は木材や金属、プラスチックなどさまざまな素材に塗装可能な汎用性の高さが大きな特徴です。
主成分のウレタン樹脂は柔軟性に優れているため、様々な素材に密着できる点がアクリル塗料との大きな違いでしょう。
価格と性能のバランスが非常に良いため新築住宅によく使用されていた塗料でしたが、よりコストパフォーマンスの高いシリコン塗料へと主流は移り変わっていきました。
シリコン塗料
耐用年数 | 10年〜13年程度 |
相場 | 2,500〜3,500円/㎡ |
シリコン塗料は耐候性や耐汚染性に優れており、外壁塗装において最もスタンダードな種類と言えます。
そのため「塗料選びで迷ったらシリコン」という位置づけにある塗料です。
表面に汚れが付きにくく、加えて太陽熱を受けても変化しにくいといった性質を持ちますので、表面の綺麗さと光沢が塗装時の状態から長期間続くとして人気があります。
フッ素系塗料
耐用年数 | 15年〜20年程度 |
相場 | 3,500〜5,000円/㎡ |
フッ素系塗料はこれまで紹介した塗料よりも格段に耐久性に優れており、特にビルやマンションといった塗り替え頻度をできるだけ抑えたい大型建築物の外壁に使用されることが多いのですが、近年では住宅の外壁塗装にも用いられるようになりました。
価格はどうしてもシリコン塗料などより高くなりますが、耐用年数が非常に長いことから長期的なメンテナンスコストは低いとも考えられます。
無機塗料
耐用年数 | 20年〜25年程度 |
相場 | 4,000〜5,000円/㎡ |
無機塗料はシリコンやフッ素を超える耐久性を持つ最新の塗料で、およそ20年の耐用年数を誇ります。
価格は最も高価ですが、その分メンテナンスの頻度が極端に少なく済み、大手メーカーも無機塗料の商品を開発・販売しております。
特にダイフレックスから販売されている「スーパーセランシリーズ」の中には、期待耐用年数を25〜30年に設定している無機塗料もあるくらいです。
これらの特徴を踏まえ、お住いの立地環境や予算に応じて最適な塗料を選択することが外壁塗装の満足度に直結します。
各塗料にはそれぞれの強みと弱みがありますので、ご自身の要望を業者に伝え、それに合った塗料を提案してもらうと計画を進めやすいです。
デメリットや他塗料との比較から、アクリル塗料が現在の外壁塗装では使われなくなった流れをおおよそ掴めたかと思います。
しかし、技術の進歩によって生まれ変わったアクリル塗料もあります。
それがピュアアクリル塗料です。
ピュアアクリル塗料はこれまでのアクリル塗料としてのマイナス面を克服し、外壁塗装において優れた機能を発揮してくれますので、こちらで詳しくご紹介いたします。
ピュアアクリル塗料とは
ピュアアクリル塗料は、従来のアクリル塗料とは一線を画す高性能塗料です。
オーストラリアの塗料メーカーが開発に成功し、主成分であるアクリル樹脂の純度をほぼ100%に高めることで耐久性と性能を大幅に向上させている塗料となります。
ピュアアクリルへの進化により、アクリル塗料は再び外壁塗装の選択肢として注目を集めるようになったのです。
では、ピュアアクリル塗料を外壁塗装に使用した場合のメリットを確認してみましょう。
メリット1:耐久性の高さ
ピュアアクリル塗料は耐用年数が15年以上と、従来のアクリル塗料よりも大幅に延びており、フッ素塗料に匹敵する耐久性を有しています。
長期間に渡って外壁の美観と保護機能を維持することが可能となりました。
メリット2:優れた弾性性能
ピュアアクリル塗料は優れた弾性性能を持っています。
弾性性能が優れていると塗膜が柔軟に伸縮してくれるため、外壁のひび割れや動きに追随することができます。
この特性により、塗膜自体のひび割れの発生を防ぎ、外壁材の表面をしっかりと守り続けてくれます。
特にモルタルやコンクリートなど、ひび割れが生じやすい外壁での使用に最適とされています。
ピュアアクリル塗料と似た水性アクリル100%系塗料
ピュアアクリル塗料はピュアアクリル樹脂を主成分としていますが、似た性質を持つ水性アクリル100%塗料も登場しています。
代表的な塗料は「エラストコート」で、こちらも高弾性かつ15年を超える耐用年数を誇っています。
ひび割れやすいモルタル外壁に適しており、元のデザイン・テクスチャーを残したまま塗り替えることができる点が評価されています。
エラストコートについては別ページで特徴についてわかりやすくまとめています。
各メーカーの技術力の向上により、現在では豊富な種類の塗料の中から外壁塗装に使用するものを選ぶことができます。
外壁塗装では塗料のコストパフォーマンスも重要ですが、塗り替えを行う外壁材に最適な性能を持つ製品を選ぶことも必要になってきます。
「ALCパネルの外壁の塗り替えには透湿性の高い塗料を使用しましょう!」
「モルタルはひび割れやすいので、弾性塗料を検討してみませんか?」
…というように、外壁材の特性を熟知しつつ最適な外壁塗装のプランを提案してくれる業者に工事を依頼することができれば、満足度もグッと跳ね上がることでしょう!
特に塗料は外壁塗装の仕上がりや耐久性に大きく影響するため、品質や特長をよく理解した上で選定するようにしましょう。
そのためのサポートとして、経験豊富な街の外壁塗装やさんスタッフがお住いの調査を行い、最適な工事をご提案させていただきます!
-
アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分とする塗料で、かつては外壁塗装の主流でしたが現在はほとんど使用されなくなっています。
-
アクリル塗料のメリットとして、価格が安い、発色が良く豊富なカラーバリエーションがある、透湿性が高く湿気を通しやすい、1液型が多く扱いやすいという点が挙げられます。
-
耐久性が低く、頻繁なメンテナンスが必要であることから、長期的なトータルコストが高くなる点がデメリットです。
-
技術力の発達により、耐用年数が15年以上というフッ素塗料に匹敵する耐久性を持つピュアアクリル塗料が登場し注目されています。
-
外壁材の特性と立地環境を考慮し、専門業者のアドバイスを受けることで、塗料のコストパフォーマンスと適合性を重視して最適な塗料を選定することが重要です。